腎臓病の人は玄米を控えめに!玄米の栄養と食べ方のポイント

こんにちは、NIMOです。玄米は栄養価が高く健康に良いとされていますが、腎臓病患者さんにとっては注意が必要な食品でもあります。このブログ記事では、玄米の栄養成分や腎臓病患者さんに適した玄米の食べ方、注意点などについて詳しく解説します。

目次

玄米は腎臓病患者に注意が必要

玄米は白米と比べてリンやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。これらの成分は腎機能が低下している人にとって負担になる可能性があるため、摂取量に注意が必要です。

リンとカリウムが豊富

玄米には白米の約4倍のリンと3倍以上のカリウムが含まれています。リンは骨や歯の主成分ですが、摂り過ぎると高リン血症を引き起こし、骨からカルシウムが溶け出して動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まります。一方、カリウムは体内の水分バランスを整える働きがありますが、腎機能が低下すると体外に排出されにくくなり、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。

摂取量に注意を

腎臓病患者さんは、ステージや病態に応じてリンやカリウムの摂取量を制限する必要があります。玄米に含まれるリンとカリウムの量は無視できないレベルなので、主治医や管理栄養士さんと相談しながら適切な摂取量を守ることが大切です。カリウムについては1日の摂取量を2,000mg以下に抑えるのが一般的ですが、玄米を1杯(150g)食べるだけで約140mgのカリウムを摂ることになります

玄米と白米の栄養成分比較

玄米と白米では栄養成分に大きな違いがあります。ここでは、リンとカリウムに焦点を当てて比較してみましょう。

玄米のリン量は白米の4倍

玄米100gあたりのリン含有量は約130mgで、白米の約4倍になります。これは、玄米の表皮や胚芽に多くのリンが含まれているためです。リンを多く摂り過ぎると、二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)や血管石灰化(けっかんせっかいか)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などを引き起こすリスクがあるため、腎臓病患者さんは注意が必要です。

玄米のカリウム量は白米の3倍以上

玄米100gあたりのカリウム含有量は約95mgで、白米の3倍以上の量になります。カリウムは不整脈や心停止の原因になる危険な電解質なので、腎機能が低下している人は血中カリウム濃度が上昇しないよう細心の注意を払う必要があります。ちなみに、玄米を水に浸漬することでカリウムを除去する効果はほとんど期待できません。

腎臓病患者向け玄米の食べ方

腎臓病患者さんが玄米を食べる際は、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、玄米の食べ方の工夫を2つ紹介します。

白米と混ぜて炊飯

玄米だけを食べるのではなく、白米と混ぜて炊飯することをおすすめします。玄米と白米の割合を2:1程度にすることで、リンやカリウムの摂取量を抑えつつ、玄米の栄養も適度に取り入れることができます。また、白米を混ぜることで玄米特有の硬さや食べにくさも和らぎ、食べやすくなるメリットもあります。

1日の玄米量は1杯程度

腎臓病患者さんが玄米を食べる際は、1日の摂取量を1杯(150g)程度に抑えることが望ましいでしょう。玄米を食べる頻度も、毎日ではなく週に2~3回程度にするのがおすすめです。ただし、病状やステージによって適切な摂取量は異なるため、必ず主治医や管理栄養士さんに相談して決めてください。

腎臓病患者の玄米摂取メリット

玄米には腎臓病患者さんにとってメリットとなる栄養素も含まれています。ここでは、食物繊維とビタミンB群の2つを取り上げます。

食物繊維で便秘解消

玄米には白米の約3倍の食物繊維が含まれており、便秘の解消に役立ちます。腎臓病患者さんは水分や食事の制限により便秘になりやすいので、適度に玄米を取り入れることで便通を改善できる可能性があります。ただし、食物繊維の摂り過ぎは腸閉塞(ちょうへいそく=イレウス)などの原因にもなるため、バランスが大切です。

ビタミンB群で代謝アップ

玄米には白米よりも豊富なビタミンB群が含まれています。中でもビタミンB1は糖質代謝を助け、疲労回復に役立つとされます。透析患者さんはビタミンB1が不足しがちなので、玄米から適度に摂取することでエネルギー代謝を高め、体調管理に役立てることができるでしょう。

腎臓病患者の玄米摂取の注意点

玄米を食べる際の注意点として、カリウムの過剰摂取とリン制限について解説します。

カリウム過剰摂取に注意

カリウムの1日摂取量は2,000mg以下が目安とされますが、玄米に含まれるカリウム量は無視できないレベルです。特に血液透析患者さんは1日1,500mg以下に制限する必要があるため、玄米の食べ過ぎには十分注意しましょう。カリウムが高くなると不整脈や心停止、筋力低下などの危険な症状を引き起こします。

リン制限のある人は要相談

リンの1日摂取量は、腎臓病の重症度に応じて500~1,000mgに制限されます。玄米のリン含有量は白米の4倍と非常に高いため、リン制限のある人は玄米を控える必要があります。リンの摂り過ぎは高リン血症を招き、骨からカルシウムが溶け出して血管石灰化や動脈硬化を引き起こすリスクがあります。

玄米の調理法と低リンレシピ

玄米を美味しく食べるための調理法と、リンを抑えたレシピを2つ紹介します。

圧力鍋で柔らかく炊く

玄米は白米よりも硬くて食べにくいのが難点ですが、圧力鍋を使えば短時間で柔らかく炊き上げることができます。玄米を水に30分以上浸してから、圧力鍋で20分ほど加圧炊飯すると、ふっくらもちもちの玄米ご飯に仕上がります。圧力鍋を使わない場合は、浸水時間を6時間以上取り、強火で10分、弱火で20~30分炊くとよいでしょう。

低リン玄米チャーハンレシピ

リンを抑えた玄米料理として、チャーハンがおすすめです。材料(1人分)は、玄米ご飯160g、卵1個、レタス30g、にんじん20g、ねぎ20g、にんにく2.5g、しょうゆ小さじ1/2、鶏がらスープの素小さじ1/2、ごま油小さじ1です。作り方は、野菜を切ってから水にさらし、炒めた玄米ご飯に溶き卵と調味料を加えて炒めるだけ。野菜の水溶性リンを除去し、たんぱく質を控えめにすることで、リンの少ないヘルシーなチャーハンに仕上がります。

腎臓病患者向け玄米加工品選び

最近は腎臓病患者さん向けの玄米加工品も販売されています。選び方のポイントを2つ挙げてみましょう。

リンとカリウム含有量チェック

玄米加工品を選ぶ際は、成分表示を見てリンとカリウムの含有量を必ずチェックしてください。できるだけ数値の低い商品を選ぶことが大切です。リンについては100gあたり100mg以下、カリウムは100mg以下が目安になります。無洗米タイプの玄米は、水洗いによってある程度ミネラルが除去されているので、腎臓病患者さんに適しているといえるでしょう。

低たんぱく玄米加工品の活用

腎臓病患者さん向けの低たんぱく玄米も販売されています。たんぱく質を1/25に抑えた製品もあり、たんぱく質制限のある人でも比較的食べやすくなっています。ただし、エネルギー量は通常の玄米と変わらないので、カロリー過多にならないよう注意が必要です。リンやカリウムの含有量もチェックして、適量を心がけましょう。

腎臓病患者の玄米摂取ポイント

ここまでの内容を踏まえ、腎臓病患者さんが玄米を摂取する際の重要ポイントを2つ挙げます。

適量を守り白米と混ぜて

玄米は栄養価が高い一方で、リンやカリウムも多く含まれています。腎臓病患者さんが玄米を食べる際は、1日1杯(150g)程度の適量を守り、白米と2:1程度の割合で混ぜて炊飯するのがおすすめです。玄米の割合が多すぎると、ミネラルの過剰摂取につながる恐れがあるので注意しましょう。

バランスの良い食事を

玄米を取り入れる際は、全体の食事バランスを考えることが何より大切です。主食の玄米だけでなく、たんぱく質や野菜、果物などをバランス良く組み合わせ、偏りのない食生活を心がけましょう。また、調理の工夫次第で玄米料理をより美味しく、ヘルシーに仕上げることができます。ミネラル除去のための浸水や、圧力鍋での柔らか炊飯など、腎臓病患者さんに適した調理法を取り入れてみてください。

まとめ:腎臓病の人は玄米を控えめに!

玄米は栄養価が高い一方で、リンやカリウムなどのミネラルも豊富に含まれています。腎臓病患者さんが玄米を食べる際は、1日1杯程度の適量を守り、白米と混ぜて炊飯するのがおすすめです。カリウムの過剰摂取やリン制限にも注意が必要です。調理の仕方を工夫したり、低リン・低カリウムの玄米加工品を活用したりすることで、より安心して玄米を取り入れることができるでしょう。何より大切なのは、バランスの取れた食事を心がけることです。主治医や管理栄養士さんとよく相談しながら、自分に合った玄米の食べ方を見つけていきましょう。

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