血圧低下の原因と症状:何に気をつけるべき?

血圧は、心臓から送り出される血液が血管に加える力のことです。血圧が低くなり過ぎると、全身に十分な血液が供給されなくなり、めまいや失神などの症状があらわれることがあります。このような状態を低血圧症と呼びます。低血圧症は、生活習慣や健康状態、薬物、アレルギーなど、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。低血圧症は、高血圧よりも危険ではないと思われがちですが、重篤な合併症を引き起こすこともあります。この記事では、低血圧症の原因と症状について詳しく解説し、何に気をつけるべきかをお伝えします。

目次

血圧低下の原因とは?

生活習慣による血圧低下の原因と注意点

低血圧症の原因の一つは、生活習慣にあります。以下のような場合には、血圧が低下する可能性があります。

  • 脱水症:水分や塩分の摂取が不足すると、体内の水分量や電解質バランスが乱れ、血液量が減少します。これにより、血管にかかる圧力が下がり、血圧が低下します。
  • 長期の安静:長時間ベッドで横になっていたり、座っていたりすると、筋肉の収縮が減少し、末梢血管の抵抗が下がります。また、重力によって下半身にたまった血液が上半身に戻らなくなります。これらのことで、心臓から拍出される血液量が減少し、血圧が低下します。
  • 妊娠:妊娠中は、子宮や胎盤への血流が増加し、末梢血管の抵抗が下がります。また、ホルモンの変化によっても血管の拡張や水分代謝の変化が起こります。これらのことで、妊娠中は通常よりも血圧が低くなりやすくなります。

これらの生活習慣による血圧低下は一時的なものであることが多く、特別な治療は必要ありません。しかし、脱水症や長期の安静は他の健康問題を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。水分や塩分を適切に摂取したり、適度な運動をしたりすることで、血圧低下を予防することができます。

健康状態や病気が引き起こす血圧低下の原因

低血圧症の原因のもう一つは、健康状態や病気にあります。以下のような場合には、血圧が低下する可能性があります。

  • 心臓の問題:心臓のポンプ機能が低下すると、心臓から拍出される血液量が減少し、血圧が低下します。心不全や心筋梗塞、心臓弁膜症などの心臓の病気が原因となることがあります。
  • 内分泌の問題:甲状腺や副腎などの内分泌器官が正常に働かないと、血管の収縮や水分代謝に関わるホルモンの分泌が乱れ、血圧が低下します。甲状腺機能低下症や副腎皮質機能低下症などの内分泌の病気が原因となることがあります。
  • 神経系の問題:自律神経系が正常に働かないと、血管の収縮や拡張を調節することができず、血圧が低下します。自律神経失調症やパーキンソン病などの神経系の病気が原因となることがあります。
  • アレルギー:アナフィラキシーショックと呼ばれる重度のアレルギー反応が起こると、血管が急激に拡張し、血圧が低下します。食物や薬物、虫刺されなどが原因となることがあります。

これらの健康状態や病気による血圧低下は、重篤な場合もあります。原因となる病気を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。また、アレルギー反応は命に関わることもあるため、アレルギー体質の方は常に注意する必要があります。

血圧低下の主な症状とは?

突然のめまいやふらつきによる血圧低下の症状

血圧低下によって最もよくあらわれる症状は、めまいふらつきです。これらの症状は、立ち上がったり座ったりするときに起こりやすく、起立性低血圧と呼ばれます。起立性低血圧は、重力によって下半身にたまった血液が上半身に戻らないために起こります。このため、頭部や心臓への血流が減少し、めまいやふらつきを感じます。起立性低血圧は、加齢や脱水、薬剤の副作用などによって起こりやすくなります。起立性低血圧の症状を予防するには、以下のような対策が有効です。

  • ゆっくりと立ち上がる:急に立ち上がると血圧が低下しやすいため、座ったり横になったりするときは、ゆっくりと体勢を変えるようにしましょう。
  • 水分や塩分を適度に摂る:水分や塩分が不足すると血液の量が減少し、血圧が低下しやすくなります。特に暑い日や運動後などは、水分や塩分を補給するようにしましょう。
  • 着圧ソックスやストッキングを履く:着圧ソックスやストッキングは、下半身の血液の流れを改善し、血圧低下を防ぐ効果があります。特に長時間座ったり立ったりする場合は、着圧ソックスやストッキングを履くことをおすすめします。

疲労感や倦怠感が現れる血圧低下の症状

血圧が低いと、脳や筋肉などに十分な酸素や栄養素が届かないため、体にエネルギーが行き渡らなくなります。その結果、疲労感や倦怠感、集中力や記憶力の低下、頭痛やめまいなどの症状が現れることがあります。これらの症状は、特に朝起きた時や食後に強く感じられることが多いです。

意識の変化や失神が起こる血圧低下の症状

血圧が急激に低下すると、脳に十分な血液が供給されなくなり、意識の変化や失神を引き起こすことがあります。これは、起立性低血圧と呼ばれる現象で、立ち上がった時や長時間立っていた時に起こりやすいです。また、薬物やアレルギー反応によっても血圧が急激に低下することがあります。意識の変化や失神は、転倒や事故の原因にもなるため、注意が必要です。

血圧低下に注意するべきポイントとは?

血圧低下のリスクを増加させる要素と注意事項

血圧低下は、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。以下のような要素は、特に注意する必要があります。

  • 脱水症:水分や塩分の不足は、体内の血液量を減らし、血圧を低下させます。暑い季節や運動後はもちろん、冬場や室内でも水分補給を心掛けましょう。
  • 特定の薬:降圧剤や利尿剤、抗うつ剤などの薬は、血管を拡張したり水分排出を促したりすることで、血圧を低下させる作用があります。服用中の薬については、医師や薬剤師に相談しましょう。
  • 心臓の問題:心臓が弱くなったり不整脈が起こったりすると、心臓から拍出される血液量が減少し、血圧が低下します。心臓の問題は、動悸や胸痛などの症状で気づくことができます。定期的に心電図やエコー検査などを受けましょう。
  • 妊娠:妊娠中は、子宮や胎児に血液が多く流れるため、血圧が低下することがあります。特に妊娠初期や中期に起こりやすいです。妊娠中は、定期的に血圧を測定し、異常があれば医師に相談しましょう。
  • 栄養不足:鉄分やビタミンB12などの栄養素が不足すると、赤血球の生成が低下し、貧血を引き起こします。貧血は、血液中の酸素運搬能力を低下させ、血圧を低下させます。食事はバランスよく摂りましょう。
  • 老化:加齢に伴って、血管の弾力性が低下したり自律神経の調節機能が低下したりすることで、血圧が低下することがあります。特に起立性低血圧は、高齢者に多く見られます。急激な体位変換は避けましょう。
  • 特定の神経学的状態:パーキンソン病や多系統萎縮症などの神経変性疾患は、自律神経の機能を障害し、血圧を低下させることがあります。これらの疾患は、手足の震えや筋肉の硬直などの症状で気づくことができます。早期診断と治療が重要です。

血圧低下を防ぐための適切な生活習慣のポイント

血圧低下は、生活習慣の改善によって予防や改善が可能な場合が多いです。以下のようなポイントに注意してみましょう。

  • 水分や塩分を適切に摂る:水分や塩分は、体内の水分量や浸透圧を調節し、血圧を維持するのに重要な役割を果たします。水分や塩分が不足すると、血圧が低下する可能性があります。特に暑い季節や運動後は、水分やスポーツドリンクなどで水分や塩分を補給しましょう。ただし、高血圧や心臓病などの場合は、塩分の摂り過ぎに注意する必要があります。
  • 食事はバランスよく摂る:食事は、血圧に影響を与える栄養素を摂取するために重要です。特に鉄分やビタミンB12などは、赤血球の生成に必要な栄養素であり、貧血を予防するのに役立ちます。肉や卵、乳製品、豆類などをバランスよく摂りましょう。また、食後は血糖値が上昇し、血管が収縮して血圧が上昇することがあります。そのため、食事は少量多回に分けて摂ることが望ましいです。
  • 適度な運動をする:運動は、心臓の機能を強化し、血液の循環を促進することで、血圧を安定させる効果があります。特に有酸素運動は、血管の弾力性を高めることで、血圧低下を防ぐことができます。歩く、走る、自転車に乗るなどの有酸素運動を週に3回以上、30分以上行いましょう。ただし、運動前や運動中は水分補給を忘れずに行いましょう。
  • ストレスを溜めない:ストレスは、自律神経のバランスを崩し、血圧に影響を与えることがあります。特に交感神経が優位になると、血管が収縮し、血圧が上昇することがあります。その後に副交感神経が優位になると、血管が拡張し、血圧が低下することがあります。このような血圧の変動は、体に負担をかけることになります。ストレスを溜めないように、リラクゼーション法や趣味などで気分転換を行いましょう。

血圧低下の予防と対策方法

適度な運動や食事の改善が血圧低下予防に与える影響

前述したように、適度な運動や食事の改善は、血圧低下予防に大きな影響を与えます。運動は、心臓の機能を強化し、血液の循環を促進することで、血圧を安定させる効果があります。また、食事は、血圧に影響を与える栄養素を摂取することで、貧血や血管の収縮などの原因を予防することができます。運動や食事は、生活習慣の中で比較的容易に改善できる部分です。日常生活に取り入れてみましょう。

ストレス管理やリラクゼーション法の効果

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、血管の収縮や拡張に影響を与えます。ストレスが多いと、交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上昇することもありますが、逆に副交感神経が優位になり、血管が拡張して血圧が低下することもあります。特に本態性低血圧や起立性低血圧の人は、ストレスによって血圧がさらに下がりやすくなります。

ストレス管理やリラクゼーション法は、自律神経のバランスを整えることで、血管の調節能力を高める効果があります。ストレス管理やリラクゼーション法には、呼吸法や瞑想法、ヨガやアロマテラピーなどさまざまな方法があります。自分に合った方法を見つけて、日常生活に取り入れてみましょう。

血圧低下に関する医師のアドバイスとは?

血圧低下は、一般的には重大な健康問題ではありませんが、症状がひどい場合や、他の病気が原因である場合は、医師の診察や治療が必要になることがあります。医師は、血圧低下の原因や程度に応じて、以下のようなアドバイスを行うことがあります 。

日常生活での血圧管理の重要性と具体的な方法

血圧管理は、血圧低下の予防や対策において、非常に重要です。日常生活で気をつけるべきことは、以下のようなものがあります 。

  • 食事は、栄養バランスが良く、塩分やカフェインの摂りすぎに注意する。特に朝食はしっかりとる。
  • 水分補給は、こまめに行い、脱水状態にならないようにする。暑い日や運動後などは特に注意する。
  • 運動は、適度に行い、筋力や血液循環を向上させる。無理な運動は避ける。
  • 睡眠は、十分にとり、睡眠不足や睡眠障害を防ぐ。寝る前にリラックスする。
  • 立ち上がるときは、ゆっくりと行い、急激な血圧変動を避ける。起き上がる前に足首を回したりする。
  • 衣服は、締め付けすぎないようにする。特に腹部や足首などを圧迫しないようにする。
  • 暑さや寒さに注意する。温度差が大きい場所や季節には注意する。

血圧低下による症状が現れた場合の対処方法

血圧低下によって、頭痛やめまい、立ちくらみ、吐き気などの症状が現れた場合は、以下のような対処方法を行います 。

  • 症状が出たらすぐに安静にする。横になったり座ったりして頭部を低くする。
  • 水分や塩分を補給する。スポーツドリンクや塩飴などを摂取する。
  • 症状が改善しない場合や重篤な場合は、医師に相談する。意識障害や失神などがある場合は救急車を呼ぶ。

まとめ:血圧低下の原因と症状:何に気をつけるべき?

血圧低下は、体質や遺伝などの要因や他の病気や薬などの影響で起こります。血圧低下によって全身に十分な血液が届かず、頭痛やめまいなどの不快な症状が起こる可能性があります。血圧低下の予防や対策には、ストレス管理やリラクゼーション法、日常生活での血圧管理、症状が出たときの対処方法などがあります。血圧低下は、一般的には重大な健康問題ではありませんが、症状がひどい場合や、他の病気が原因である場合は、医師の診察や治療が必要になることがあります。自分の血圧の状態を把握し、適切な対策を行って、健康的な生活を送りましょう。

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