血圧は、血液が流れることによって血管の内側にかかる圧力のことです。この圧力が高過ぎると、動脈硬化や心疾患などのリスクが高まります。血圧は、運動やストレスなどで一時的に変動することもありますが、常に高い状態が続くと高血圧症と診断されます。高血圧症は自覚症状がないまま進行することも多いため、定期的に血圧を測定することが大切です。しかし、血圧を測る方法にはコツがあります。正しく測らないと、誤った数値になってしまうこともあります。この記事では、自宅で正しく血圧を測る方法と注意点を紹介します。
はじめに
血圧測り方の重要性と目的を説明
血圧を測る目的は、自分の健康状態を把握することです。高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。しかし、高血圧は自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行してしまうこともあります。そのため、自分の血圧値を知ることで、早期に対策を取ることができます。また、血圧は日々変動するものです。一回だけ測っても正確な数値とは言えません。毎日同じ時間に測って記録することで、自分の血圧の傾向や変化を把握することができます。これは、医師や薬剤師と相談する際にも役立ちます。
記事の内容とメリット
この記事では、自宅で正しく血圧を測る方法と注意点を紹介します。具体的には、
- 血圧測り方の基本知識
- 血圧測り方のコツ①:測定タイミングと回数
- 血圧測り方のコツ②:測定環境と体勢
- 血圧測り方のコツ③:血圧計の選び方と使い方
の4つのポイントを解説します。この記事を読むことで、
- 自分の健康状態を把握することができる
- 高血圧の予防や管理に役立つ情報を得ることができる
- 医師や薬剤師と相談する際に有用なデータを提供できる
などのメリットがあります。
血圧測り方の基本知識
血圧とは何かを簡単に説明
血圧とは、血液が流れることによって血管の内側にかかる圧力のことです。血圧は、心臓から押し出される血液量(心拍出量)と、血管の収縮の程度やしなやかさ(血管抵抗)によって決まります。血圧計で測る血圧の値は、計算式で示すと「血圧=心拍出量×末梢血管抵抗」となります。血圧計で測るときには、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の2つの値が表示されます。収縮期血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときに最も高くなる値で、拡張期血圧は、心臓が拡張して血液を戻すときに最も低くなる値です。一般的には、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合は高血圧と診断されます。
血圧の基準値と高血圧の定義
日本高血圧学会では、家庭で測定した場合の正常な血圧の基準値を以下のように定めています。
- 収縮期血圧:135mmHg以下
- 拡張期血圧:85mmHg以下
これらの値を超える場合は、高血圧の可能性があります。また、高血圧は重症度によって以下のように分類されます。
- Ⅰ度:収縮期140~159mmHg、拡張期90~99mmHg
- Ⅱ度:収縮期160~179mmHg、拡張期100~109mmHg
- Ⅲ度:収縮期180mmHg以上、拡張期110mmHg以上
高血圧の重症度が高いほど、合併症のリスクも高くなります。自分の血圧値を知り、適切な治療や生活改善を行うことが大切です。
血圧測り方のコツ①:測定タイミングと回数
起床後1時間以内と就寝前に測定する理由
家庭で測る場合は、起床後1時間以内と就寝前の1日2回測定することがおすすめです。これは、
- 起床後1時間以内は、交感神経が活発化していて朝一番に高くなる傾向があるため
- 就寝前は、一日の活動や食事などの影響を受けていて夜一番に高くなる傾向があるため
です。朝と夜の1日2回測定することで、「朝型」「夜型」など自分の血圧の傾向や変化を把握することができます。
毎日同じ時間に測定する理由
また、毎日同じ時間に測定することも大切です。これは、
- 血圧は時間帯や体調などで変動するため
- 同じ条件で測定することで、自分の血圧の傾向や変化を正確に把握できるため
です。血圧は、一日の中でも時間帯によって変動します。朝は、交感神経が優位になって血圧が高くなります。夜は、副交感神経が優位になって血圧が低くなります。また、食事や運動、入浴や睡眠などの生活習慣も血圧に影響します。そのため、血圧を測るときは、毎日同じ時間に測ることが大切です。そうすることで、自分の血圧の傾向や変化を正確に把握できます 。
血圧測り方のコツ②:測定環境と体勢
測定前に5分程度安静にしてリラックスする理由
血圧は、運動やストレスなどで一時的に変動することがあります。そのため、測定前には5分程度安静にしてリラックスすることが大切です。測定中に話さない、笑わない、動かないことも忘れずにしましょう。測定中の動作や感情は、血圧に影響を与える可能性があります。
測定中に話さない、笑わない、動かない理由
測定中に話したり笑ったりすると、口腔内の圧力が変化し、血圧計の数値に誤差が生じる可能性があります。また、手や足を動かしたりすると、筋肉の収縮によって血流が変化し、血圧計の数値に誤差が生じる可能性があります。測定中は静かにして、できるだけ脱力するようにしましょう。
椅子に座って背もたれにもたれ、足は組まずに床につける理由
測定時の体勢も血圧に影響を与えます。椅子に座って背もたれにもたれることで、心臓とカフの高さを揃えることができます。心臓の高さからの高低差が5cmあるだけで、3.5mmHg以上の血圧差が生じてしまいます。足は組まずに床につけることで、下半身の血流をスムーズにすることができます。足を組むと下半身の血管が圧迫されて血流が悪くなり、血圧が上昇する可能性があります。
血圧測り方のコツ③:血圧計の選び方と使い方
上腕式血圧計がおすすめな理由
家庭用の血圧計は大きく分けて上腕式と手首式の2種類があります。上腕式はカフを上腕部に巻いて測定するタイプで、手首式はカフを手首部に巻いて測定するタイプです。一般的には上腕式の方が正確な数値を測定できるとされています。これは、
- 上腕部は心臓から近く、手首部よりも血管の直径が大きく変化しないため
- 手首部は心臓から遠く、手首部よりも血管の直径が小さく変化しやすいため
です。手首式はカフの位置や角度を正確に合わせる必要がありますが、上腕式は比較的簡単に測定できます。
身体サイズに合ったカフを選ぶ理由と方法
カフは身体サイズに合ったものを選ぶことが重要です。カフが小さすぎると、過大な数値になります。カフが大きすぎると、過小な数値になります。カフのサイズは、上腕部の中央で測った周囲長によって決めます。一般的には、
- 22~26cm:小型カフ
- 27~34cm:標準カフ
- 35~44cm:大型カフ
のように分類されます。カフの巻き方もポイントです。カフのゴムの中央が上腕動脈の真上にくるようにして、指2本分入る強さで巻きます。
カフの巻き方と締め付け具合のポイント
カフの巻き方と締め付け具合は、血圧測定の精度に大きく影響します。カフを巻くときは、以下のポイントをおさえましょう。
- カフの下端は肘から2~3cm上にする
- カフは皮膚に直接当てる(厚手の服は脱ぐ)
- カフは平滑に巻く(しわやねじれを防ぐ)
- カフは指2本分入る強さで巻く(締めすぎない)
まとめ:血圧測り方のコツ!
この記事では、自宅で正しく血圧を測る方法と注意点を紹介しました。血圧測定にはコツがあります。正しく測らないと、誤った数値になってしまうこともあります。この記事で紹介した4つのポイントをおさえて、自宅で正しく血圧を測りましょう。